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2006.02.26

沢渡朔 完全版アリス 全2巻

沢渡朔の少女写真集『少女アリス』と『海からきた少女』が復刊とのこと。 詳しくは、『完全版アリス 全2巻』のページに書かれているが、仮予約が500部を越えたら復刊らしい。

この写真集は、1970年代に出版された、沢渡朔による『不思議の国のアリス』や『鏡の国のアリス』をモチーフにした非常に不思議な雰囲気の漂う作品集だ。 モデルに少女を採用し、イギリスでロケをしている。 一部、裸体が写っているので、いろいろな意味で話題になり、古本でも高値をよんできた。

『少女アリス』の方は、一度、2003年に復刊されているが、『海からきた少女』の方は、今回、はじめて復刊される。 ちょっと、2冊あわせて予価13,440円というところが、なかなか悩ましい。 バラ売りはしないのだろうか。

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2006.02.25

流れ星が消えないうちに

橋本紡著、『流れ星が消えないうちに』、新潮社、2006年を読む。

本書は、ライトノベル作家として有名な橋本紡の最新刊。 過去の恋愛と友情に心をとらわれた恋人たちの物語。

主な登場(?)人物は、奈緒子、巧、加地くんの3人。 かつて、奈緒子の恋人で、巧の親友だった加地くんは、遠い異国で亡くなってしまい、もういない。 それから、奈緒子の家族である、父と妹(と母)がお話には登場する。

奈緒子と加地くんは、本当にお互いに愛し合っていた。 加地くんを失ってから、奈緒子はどこか壊れてしまい、玄関に布団を敷いて寝ている。

そんな奈緒子と加地くんの関係だったのに、加地くんは他の女の子と一緒に異国の地で事件に巻き込まれ、死んでしまう。 その2人のストーリーをテキトーに美しく描いたワイドショーの報道や、知人たちの根拠のない噂話は、奈緒子の胸に微妙な角度で突き刺さる。

全然、タイプは異なるが、ひょんなことから、お互いに認め合う間柄になった巧と加地くん。 巧は、加地くんにある種の理想を見ていた。 そんな巧だったが、いつの間にか、加地くんを失った奈緒子とつき合うようになった。 二人にとって、加地くんは大きすぎる存在だ。 それが、二人の関係をゆさぶる。

『流れ星が消えないうちに』は、失われてしまったかけがえのないもの、失われてしまったが故に輝き続けてしまう過去に、魂をひかれてしまっている2人の変容の物語だ。 うまくいかない日常のなかのちょっとしたこと、一人一人の不完全な人間の存在の重さを、それでも信じる姿勢を貫く物語だ。

特殊な能力を持った存在も、萌えキャラも、世界の危機も、そんなものがなくても、十分にミラクルな物語が成立することを実感した。

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2006.02.24

ウェブ進化論

梅田望夫著、『ウェブ進化論 -- 本当の大変化はこれから始まる』、ちくま新書、2006年を読む。

本書は、ネットに起こっている革命的な動きを紹介した本。 それは、オープンソース、チープ革命、インターネットの3つを基盤にして起こっているというのが本書の主張だ。 ここで他の2つに比べると見慣れない「チープ革命」という言葉は、要するに低価格で高性能がITの世界でどんどん実現されつつあることを意味する。

これらのおかけで、今や、いろいろな人がネットでなんとなく意見を表明し、なんとなく読むことにより、なんとなく意見が集約されるようになった。 そして、群衆の智によって、一部の例外を除き、そこそこ大まかにうまくいく。 また、ほんの一部が高い集客力を持ち、その他はなだらかなロングテール状の低い集客力しか持ち得ない、そんなネット世界。 しかし、そのロングテールも集めてみると、場合によっては無視できない規模になるようになってきている。

そんな著者なりのネット世界観を、本書では紹介している。

このネット社会の流れには、必ずしも賞賛できるものではない、負の部分も存在していると思う。 まあ、こう考えてしまうのは、ある意味、非常にWeb 2.0的でないのだろう。 望むと望まざるにかかわらず、この世界の変化は圧倒的な物量で押し寄せてきて、わたしたちを飲み込んでいくのだろう。

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2006.02.23

陰陽師は式神を使わない

ちょっと、無理無理な生活になっているので、気分は『スローブログ宣言!』で行こうと思います。

では、気を取り直して、藤原京著、『陰陽師は式神を使わない -- 陰陽道馬神流初伝・入門篇』、集英社 スーパーダッシュ文庫、2006年を読む。

本書は、一見、ライトノベルな装いをしているけれど、実態は、「萌え系マンガによる入門書」に極めて近い。 そう、タイトルを付けるならこんな感じ。

『萌える! 易占』

ただし、登場人物は、ちょっと昔のライトノベルの造形をしていて、全然「萌え」ではない。 「萌え」ではないけれど、本としての構成は「萌え系の入門書」そのものなのだ。

主人公は、馬神太一郎という高校生で、馬神流陰陽道の後継者である。 彼が、萌え系の入門書で言えば、ダメなお兄ちゃんを助ける萌えキャラに相当する。

では、ダメなお兄ちゃん役は?というと、委員長弓道少女な胡桃沢ちゃんだ。 一見、萌え属性が満載っぽっく見える設定なのに、実は、ちっとも萌えキャラではない。 そればかりか、ダメなお兄ちゃん役なのである。

お話は、ダメなお兄ちゃん役である唯ちゃんが、萌えキャラ相当の馬神くんに、易占を学ぶというもの。 特にそれ以外のストーリーはないので、フツーのライトノベルを求める人は、手に取らない方がよい。 あくまで『萌える! 易占』(ただし萌えはない)だと思って読むべき本だ。 Amazonのカスタマ・レビューの評判が悪いのもうなづける。 それらはライトノベルとしての評価なのだ。

内容は非常に実践的で、本筮法という、解釈が複雑で入門書には書かれていない場合が多い、本格的な占法が解説されている。 占いに使う道具は、サイコロや硬貨になっていて、筮竹までは用意しなくてもいい。 本書を読むときには、原典である易経だけは用意しておいた方がいい。 本書で採用されているのは、岩波文庫版の『易経 (上・下)』だ。 ちなみに、易経の訳は他にもあって、本田済訳とかも持っていると、比較できて楽しいと思う。

ライトノベルとしてはどうか、という内容だが、解説書としては、なかなか含蓄が深くて、おもしろいものになっている。 というか、ライトノベルのレーベルで、どれだけ変な本を出せるかという挑戦にさえなっている。 変な本コレクターのみなさんには、おすすめ。

ただし、本書に解説されている占法は、一部、著者独自のものとなっている。 岩波版の最初の解説をよく読んで、その違いを理解した方がいいだろう。

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2006.02.21

嫌オタク流

中原昌也、高橋ヨシキ、海猫沢めろん、更科修一郎著、『嫌オタク流』、太田出版、2006年を読む。

えーと、タイトルは『オタクVS.サブカル』とか『サブカルの逆襲』の方がよくないか。

内容は、サブカルな人にオタクな人がオタクを解説し、それをネタに「オタク、ダメじゃーん」という主張をくりかえすというもの。 オタクとは言うものの、主には、『電波男』とか、「オタクエリート」とか、最近の萌えムーブメントなどの、近年の盛り上がりが見られるものが仮想論敵になっている。

この本の内容は、雑談の割合が非常に高く、それが仮に存在するとして「オタクの問題」に何らかの寄与をしたのかどうかはよくわからない。 というか、実はサブカルもオタクもどうせ遠くから見たらそんなにかわらないんだから、仲よくすればいいのにという気が。

個人的には、『デス・パフォーマンス』とか、知らなかった変な本がいくつか紹介されていたのがヒットだった。

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2006.02.20

舞-HiME Side-A/Side-B

ナカガワヒロユキ著、矢立肇原作、『舞-HiME Side-A/Side-B』、徳間デュアル文庫、2005年を読む。

本書は、日本サンライズのTVアニメ「舞-HiME」を全2巻でノヴェライズしたもの。 TVアニメは見ていなかったが、『左巻キ式リゾート』の人が著者ということで、読んでみた。

読んでみた感じ、非常にまっとうなサンライズもの。 あまりに『左巻』の印象が強かったので、これにはびっくり。 Side-A、Side-Bで、それぞれちゃんと盛り上がっておもしろかった。

しかし、驚くのが、百合濃度。 たぶん、原作もそうなのだろうけれど、ほとんど当たり前のように百合的な関係が出てくるのはびっくり。 ひそやかに百合作品を楽しんでいた頃のことを思い出し、あの特別な(ような錯覚をもたらした)日は既に遠くなってしまったのかと、うれしいようなうれしくないような、屈折した気分に。

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2006.02.19

reloaded

遠いところから帰ってきました。

あまりに破綻した状況が続いたこの1ヶ月。 帰還できたことを喜びたい。

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