ちょっと、無理無理な生活になっているので、気分は『スローブログ宣言!』で行こうと思います。
では、気を取り直して、藤原京著、『陰陽師は式神を使わない -- 陰陽道馬神流初伝・入門篇』、集英社 スーパーダッシュ文庫、2006年を読む。
本書は、一見、ライトノベルな装いをしているけれど、実態は、「萌え系マンガによる入門書」に極めて近い。
そう、タイトルを付けるならこんな感じ。
『萌える! 易占』
ただし、登場人物は、ちょっと昔のライトノベルの造形をしていて、全然「萌え」ではない。
「萌え」ではないけれど、本としての構成は「萌え系の入門書」そのものなのだ。
主人公は、馬神太一郎という高校生で、馬神流陰陽道の後継者である。
彼が、萌え系の入門書で言えば、ダメなお兄ちゃんを助ける萌えキャラに相当する。
では、ダメなお兄ちゃん役は?というと、委員長で弓道少女な胡桃沢唯ちゃんだ。
一見、萌え属性が満載っぽっく見える設定なのに、実は、ちっとも萌えキャラではない。
そればかりか、ダメなお兄ちゃん役なのである。
お話は、ダメなお兄ちゃん役である唯ちゃんが、萌えキャラ相当の馬神くんに、易占を学ぶというもの。
特にそれ以外のストーリーはないので、フツーのライトノベルを求める人は、手に取らない方がよい。
あくまで『萌える! 易占』(ただし萌えはない)だと思って読むべき本だ。
Amazonのカスタマ・レビューの評判が悪いのもうなづける。
それらはライトノベルとしての評価なのだ。
内容は非常に実践的で、本筮法という、解釈が複雑で入門書には書かれていない場合が多い、本格的な占法が解説されている。
占いに使う道具は、サイコロや硬貨になっていて、筮竹までは用意しなくてもいい。
本書を読むときには、原典である易経だけは用意しておいた方がいい。
本書で採用されているのは、岩波文庫版の『易経 (上・下)』だ。
ちなみに、易経の訳は他にもあって、本田済訳とかも持っていると、比較できて楽しいと思う。
ライトノベルとしてはどうか、という内容だが、解説書としては、なかなか含蓄が深くて、おもしろいものになっている。
というか、ライトノベルのレーベルで、どれだけ変な本を出せるかという挑戦にさえなっている。
変な本コレクターのみなさんには、おすすめ。
ただし、本書に解説されている占法は、一部、著者独自のものとなっている。
岩波版の最初の解説をよく読んで、その違いを理解した方がいいだろう。
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