おんなのこ物語 1〜3
森脇真末味著、『おんなのこ物語 (1)〜(3)』、ハヤカワコミック文庫、2006年を読む。
本書は、1980年代前半に連載された、ロックバンドの中の人間関係を描いた少女マンガを文庫化したもの。 タイトルは『おんなのこ物語』だが、内容は全くかけ離れている。
ストーリーは、コミックバンド「桃色軍団」のドラマー・八角(やすみ)を中心に展開する。 しかし、次々と勝手にキャラクターが動きだし、サイドストーリーだらけになる。 というか、完結した状態で作品を眺めてみれば、むしろ、魅力的なキャラクターによって構成されたオムニバス作品と言った方がいいかもしれない。
八角は、元々、ステッカーという伝説のバンドのドラマーだった。 ステッカーは、天才肌でカリスマな仲尾というボーカルが中心のバンドだったが、八角の秘められた才能が開かれていくに連れ、メンバー間に緊張感が高まり、亀裂が走るようになる。 しかし、八角は、仲尾の庇護の下で音楽をやることに、非常に大きな満足を感じており、いつまでも続いて欲しいこの輝かしいステッカーの日々が失われてしまうことに、いつまでも大いにこだわり続けてしまう。
この人間関係の描写が、凄過ぎる。 80年代に描かれた作品なのに、90年代のX Japanをはじめとする様々なバンドの解散の顛末などが、まるで出来の悪いパロディのようにさえ見えてくるくらいだ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント