迷宮の美術史
風邪で体力に余裕がないのだった。
岡部昌幸監修、『迷宮の美術史 -- 名画贋作』、青春出版社 青春新書、2006年を読む。 うーん、「監修」になっているけれど、これは「著」ではないのかと。
本書は、絵の贋作事件を紹介したもの。 フェルメール、ゴッホ、ロダン、キリコ、ピカソ、デューラーなどの贋作の話が、非常に興味深く書かれている。 特に、贋作家の話は、本書ではじめて読み、とてもおもしかった。
本書を読んで思ったのは、つくづく複雑な贋作の事情だ。 屈折した画家が作った贋作、間に入った画商の欲のせいで問題が拡大した贋作、鑑定家の権威の問題、徒弟集団による制作物の真贋問題と、贋作と言っても、様々な様相がある。
そもそも、何故、贋作が問題なのかと言えば、それは結局のところ、詐欺の問題、事実認定の問題、たった一つしかないオリジナルの存在の価値というところにあるのかもしれない。 真作の価値の根拠、著作権、複製の問題というのは、わたしの中では混沌としてよくわからない。 今後も考えていきたい。
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