神聖喜劇 第一巻
大西巨人、のぞゑのぶひさ、岩田和博著、『神聖喜劇 第一巻』、幻冬舎、2006年を読む。
本書は、大西巨人の『神聖喜劇』の漫画化作品。 第二巻も同時発売されている。 構成は全六巻の予定らしい。
お話は、超絶な記憶力を持った主人公・東堂が、大東亜戦争に徴兵される。 そして、軍隊での数々の理不尽に、一々ぶつかっていくというもの。
この主人公、ボルヘスの『伝奇集』所載の「記憶の人、フネス」やジーン・ウルフの〈新しい太陽の書〉のセヴェリアンまではいかないだろうが、とにかくいろいろな書物を正確に引用しまくることができる。
ロジカルに考える能力とカメラのような記憶力を持ったものにとって、この世はとにかく理不尽だ。 この作品では、特に理不尽さが明瞭に暴力を伴って現れる軍隊を描いている。 しかし、これはわたしたちの世界を極端に描き出しただけだ。 読めば読むほど、現実の自分を取り巻く世界に反響していく。
早速2巻も読むたくなった。
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