狂気の偽装
岩波明著、『狂気の偽装 -- 精神科医の臨床報告』、新潮社、2006年を読む。
本書は、近年、フィーチャーされている「心の病」の実態を、事例などを交えながら紹介している。 タイトルの『狂気の偽装』や帯の「マスコミが煽り、社会に蔓延する「精神病」の虚妄を衝く」「その「心の病」は大ウソだ!」などは、非常に扇情的で目を魅くが、本書の内容とはずれている。 本書は、流行に乗ったインチキな心の病を告発するというよりは、実際の心の病の実態を描写する方に力点がおかれている。
本書で紹介されているのは、PTSD、トラウマ、うつ病、行為障害、アスペルガー、ADHD、自閉症、境界例、自殺や自傷、脳障害、統合失調症、摂食障害などなど、多岐に渡る。 あまりに深刻であまりに救いがない。 これからメンヘル系の語りを顧みてみると、それは症状というよりは、むしろメンヘルな症状を語らずにはいられない何かの方こそが深刻なのかもしれないと感じた。
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コメント
同感。帯に騙されて今頃買ってしまった私。
まあ、タイトルや帯の言葉ほとんど出版社が決めるものだから、著者としても不本意だったのかもしれない。(と一応著者のかたをもつ)
しかし、内容もごくありふれていて、単なる「今世に溢れているメンタルな病のご紹介」的なところもあり。本の値打ちとしては500円かな。
投稿: ももこ | 2007.07.13 11:58