コスプレ幽霊紅蓮女
上甲宣之著、『コスプレ幽霊紅蓮女』、宝島社、2006年を読む。
本書は、2003年に「このミステリーがすごい」の第1回の『そのケータイはXXで』でデビューした著者の新作。 一応、シリーズ作でもある。 お話は、子どもたちにもまともに相手にされないネクラな小学校の女教師が、「紅蓮女」という都市伝説を、自分で創り、自分で「紅蓮女」の格好をして、夜な夜な出没し、街を恐怖に陥れる。 彼女は、「紅蓮女」になっているときだけ、自己実現できるのだ。 そして、「紅蓮女」としてのアイデンティティをかけた活動の過程で、口裂け女や呪われた村やストーカーや学校の怪談などの事件と遭遇し、乗り越えていく中で、自分自身として再生していくというもの。
この作品、こう言っては何だけど、非常にマンガ的なところがある。 設定の滅茶苦茶さというか、インパクトが何と言っても作品のキモだと思う。 主人公の必殺技など、コミックスの『無限の住人』の凛のものによく似ているくらいだ。 しかし、だからと言って、ライトノベルのように、割り切ってギャグをやっているわけでもないし、人物もよく描けているわけでもない。
そういう意味では、ターゲットと設定と書き方とテーマとパッケージングの組み合わせがよくないような。 なんとなく、もうちょっとおもしろくなりそうなところがもったないと思った。
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