パラケルススの娘 4 緋袴の巫女
五代ゆう著、『パラケルススの娘 4 緋袴の巫女』、MF文庫J、2006年を読む。
〈パラケルススの娘〉シリーズは、「パラケルススの娘」を名乗る男装の麗人の魔術師と、彼女の親友の孫で魔を退ける能力がないと思われている少年が主人公。 主人公の少年は、まっすぐではあるけれど、天然で、色恋に疎く、普段はよわよわしい。 そのまわりには、主人公の少年に思いをよせる女の子、しかもそれぞれ萌え要素を持ったキャラクターがたくさん出てきて、非常に典型的なハレームっぽい構成のライトノベルになっている。 しかし、著者の五代ゆうが描くと、そのハーレム状態や萌え要素も、通常の想像と全く異なった様相を見せるから不思議だ。
今回は、シリーズの原点となる部分を描いており、明治時代の日本で「パラケルススの娘」と主人公の祖母が出会い、協力して吸血鬼を倒すお話になっている。 この祖母の若き日も、シリーズ第1巻の描写からはあまり想像できないような形で描かれている。 この予測を裏切る展開と設定が小出しにされていることで、世界観が見えにくく、とっつきにくいシリーズとなっていたのだが、この巻に来て、だんだん世界観がまとまってきたような気がする。
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