« 2006年5月 | トップページ | 2006年8月 »

2006.06.26

コミックファウスト

「コミックファウスト」、講談社、2006年を読む。

本書は、ライトノベル系な文芸誌「ファウスト」誌から誕生したコミックを中心としたムック。 あんまり他では読めないような作品が目白押し。

個人的には、コミック作品よりも、上遠野浩平による横山光輝「マーズ」のノヴェライズとか、西尾維新によるCLAMP「xxxHOLIC」のノヴェライズとかの方がよかった。 また、集英社、小学館、白泉社のアメリカにおけるコミックの事業を展開しているVIZの成田兵衛氏のインタビューも新鮮だった。

コミック誌なのに、文章作品の方がよかったと思うのも何だけど、たぶん、絵の表現に関して、自分はかなり保守的なのだろう。 何がどう起こっているのかが明確に描かれている方が好みだったりするし。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.25

パラケルススの娘 4 緋袴の巫女

五代ゆう著、『パラケルススの娘 4 緋袴の巫女』、MF文庫J、2006年を読む。

〈パラケルススの娘〉シリーズは、「パラケルススの娘」を名乗る男装の麗人の魔術師と、彼女の親友の孫で魔を退ける能力がないと思われている少年が主人公。 主人公の少年は、まっすぐではあるけれど、天然で、色恋に疎く、普段はよわよわしい。 そのまわりには、主人公の少年に思いをよせる女の子、しかもそれぞれ萌え要素を持ったキャラクターがたくさん出てきて、非常に典型的なハレームっぽい構成のライトノベルになっている。 しかし、著者の五代ゆうが描くと、そのハーレム状態や萌え要素も、通常の想像と全く異なった様相を見せるから不思議だ。

今回は、シリーズの原点となる部分を描いており、明治時代の日本で「パラケルススの娘」と主人公の祖母が出会い、協力して吸血鬼を倒すお話になっている。 この祖母の若き日も、シリーズ第1巻の描写からはあまり想像できないような形で描かれている。 この予測を裏切る展開と設定が小出しにされていることで、世界観が見えにくく、とっつきにくいシリーズとなっていたのだが、この巻に来て、だんだん世界観がまとまってきたような気がする。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.24

世田谷一家殺人事件

齊藤寅著、『世田谷一家殺人事件 -- 侵入者たちの告白』、草思社、2006年を読む。

本書は、2000年12月30日に起こった宮澤一家の殺人事件の犯人を特定したと主張する本。 世田谷一家殺人事件だけでなく、関連すると主張するいくつかの事件の取材を、ドキュメンタリータッチで描いている。

本書の主張は、アジアからの留学生の一部が、犯罪組織クリミナル・グループを形成しており、近年のいくつかの事件は彼らの起こした犯罪であり、世田谷一家殺人事件に関してもそうであるというものだ。 主な根拠は、指紋に関する警察筋からという情報、クリミナル・グループのメンバーからという証言などだ。

書いている人の立ち位置などによる記述の幅を考えると、本書の記述がどのくらい本当かは、犯人の検挙を待つしかないような。

| | コメント (1) | トラックバック (1)

2006.06.22

世田谷一家殺人事件 本当に犯人が突きとめられたのか?

齊藤寅著、『世田谷一家殺人事件 -- 侵入者たちの告白』、草思社、2006年という本が出たらしいので、早速注文した。

世田谷一家殺人事件というと、2000年に起こった事件で未解決。 被害者のご夫妻は、最近ではコーチングな自己啓発セミナーで知り合ったという噂もあった。 その後、何人かのジャーナリストが調べてみたものの、決定打はなかった。

今回の本の著者は、ジャーナリストということになっているが、検索してみても名前が出てこないような。 もしも犯人が特定できていれば、逮捕されていてもいいわけで、その辺どうなっているのか気になるところ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.20

ヤバい経済学

スティーヴィン・D・レヴィット、スティーヴン・J・タブナー著、『ヤバい経済学 -- 悪ガキ教授が世界の裏側を探検する』、東洋経済新報社、2006年を読む。

本書は、シカゴ大学の経済学の教員レヴィットとジャーナリストのタブナーによる統計を通じて見えてくるアメリカ社会を描いた本。 経済学というよりは、社会学ではないかという感じもする。

取り上げられている話題は、全国統一テストや日本の相撲などにおけるインチキ、ク・クラックス・クランに大打撃を与えたもの、麻薬の売人組織の経済構造、90年代アメリカで犯罪が急激に減った原因、学校の成績のいい子の親の特徴、子どもの名付けの背後にあるものなど。 相撲の八百長の分析以外は、アメリカの話題が中心で、麻薬や人種問題などが、いろいろな側面から見えてくる。 非常に読みやすい本で、興味深い。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.19

立喰師列伝

映画「立喰師列伝」を観る。

本作は、押井守の最新作。 立喰師とは、ソバなどの立ち食いの店で、何らかの手法により、無銭飲食を行うものたちのこと。 戦後日本とともにあった立喰師たちの伝説を、静止写真を使ったアニメーション(?)のコメディとして仕上げたのが、この作品だ。

ということなんだけど、おもしろいかどうかと言われると、かなり微妙な作品。 他の作品では、作品の一部として、登場人物が語っていた衒学的な物語を、105分近くずっと見せられることになる。 作品の隠し味だった部分を、独立して一つの長編映画にしたわけで、その隠し味だけを楽しめるかどうかが、ポイントになる。 実写の写真を組み合わせた映像表現も、非常に前衛的で、これまた観る者を大きく選ぶ。

とにかく、楽しめる人を選びすぎる作品なので、事前によくリサーチしてから出かけた方がいいと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.18

ママは悪魔ハンター

ジュリー・ケナー著、和爾桃子訳、『ママは悪魔ハンター』、早川書房、2006年を読む。

本書は、ハーレクインな作品をいくつか書いていて、本業は弁護士らしいジュリー・ケナーのファンタジー小説。 ただし、物語の形式はファンタジーなのだが、ファンタジー色はむしろ薄め。

お話は、むかし、バチカンの悪魔ハンターをしていて、現在は主婦をしているケイト・コナーの住んでいる街に、悪魔がやってきて陰謀を企んでおり、嫌が応にもその戦いに巻き込まれていくというもの。

ケイトは、前の夫を亡くてしていて、現在は、地方公選弁護人になろうとしているスチュアートと再婚。 年頃の娘アリーは前の夫の子ども、幼い息子ティミーは現在の夫の子ども。 この家族との生活に、悪魔との戦いが乱入したものだから、そのための調整に苦労するというのが、お話の多くを占める。 悪魔との戦いは聖水と肉弾戦で、ここにはあまり見所はないというか、ファンタジー的な要素も、アクション・シーンも多くない。 なんとなく、アメリカのTVドラマっぽい作品で、コメディ的な要素もあるのだけれど、ちょっと文化的にわかりにくいところもある。

お母さん奮戦記っぽい作品を求める人向きかも。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.14

『イデオンという伝説』は後日

というわけで、「伝説巨神イデオン」を観たので、次は中島紳介他著、『イデオンという伝説』、太田出版、1998年を、と言いたいところなのだけれど、スケジュールがハードすぎなので、これは後日。

それはともかく、今日は、「不遇」が形成されるのを見た。 いやなんというか、まわりの人は「不遇な方」を援助したいのだけれど、ご本人がフォローのしようのないことをされて、いかんともしがたい状況になり、チャンスが流れてしまうという…。 こうしてまた歴史が繰り返されてしまう。

うーん、しかし、派閥や利権やコネのために「不遇」なのか、自分で「チャンス」をつぶしまくっているのかは、外から見ている場合、区別がつきにくそうだ。 悩ましい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.13

伝説巨神イデオン 発動篇

「伝説巨神イデオン 発動篇」を観る。

まさに全滅なストーリー。

イデの力が、子供や赤ちゃんを中心に発動するらしいことがわかってからの、主人公側のメンバーの言動は、どことなくカルトっぽさも感じられる壮絶な描写。 見ていると、みんなおかしくなってしまったとしか言いようがないところがすごい。 しかも、何を信じようと、何に頼ろうと、結局、全滅してしまう。

この作品に関しては、「新訳」みたいなことはしないで、このまま残って欲しい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.12

伝説巨神イデオン 接触篇

「伝説巨神イデオン 接触篇」を観る。

イデオンはちゃんと観た記憶がなかったのでDVDを見てみた。 これは2回目のDVD化らしいのだが、DVDとしてはかなり微妙。 チャプター分けは「オープニング」「本編」「エンディング」しかないというか、普通、それはチャプターと言わないような。 けっこう、映画にチャプターを付けるのは難しい作業だが、ちゃんと監修してそれをやろうという人がいなかったのだろうか。

ストーリーは例によって、長いTV作品を、短い時間に編集した関係で、話が唐突だったり、一部わかりにくかったりする。 そこは、観た者が補完するしかない。 2つの遠く離れた惑星の人類が、イデの引き合わせで出会ってしまったことから戦闘になり、遺跡から発見したロボットと宇宙船を舞台に、人と人は何故争うのか、大人の政治的都合などが描かれていく。

この後には、問題の「発動篇」。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.11

TRICK 劇場版2

「TRICK 劇場版2」を観る。

今回は、自称霊能者の女性との対決。 おもしろいかおもしろくないかと言えば、期待は裏切らない形に仕上がってはいた。 しかし、既に自称霊能力者とは何回も対決しているし、消失と瞬間移動系の話も新鮮さがなくなってきている。 トリックそのものの方ももっとがんばって欲しかったかも。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006.06.10

ガンパレード・オーケストラ 白の章

榊涼介著、『ガンパレード・オーケストラ 白の章』、電撃文庫、2006年を読む。

本書は、同名のゲームのノヴェライズ。 榊涼介は、このゲームの前作である〈ガンパレード・マーチ〉シリーズのノヴェライズも書いているが、キャラクターの魅力を十分に引き出した好シリーズとなっていた。 本書でも、その手腕は、十分に発揮されている。

「ガンパレード・オーケストラ 白の章」は、「ガンパレード・マーチ」の後日談で、青森を舞台に、新任の隊長が、やる気がなく、実力がなく、反発する学生兵を、少ない物資の中で、まとめていく物語だ。 いまいち、キャラクターの人数が多く、個性がわかりにくく、ストーリーも序盤が気が重くなるような内容だ。

それが、すんなりわかりやすい小説に仕立てられていて、ちょっとびっくり。 さすがに1冊の本になっているので、活かされていない設定などもあることはある。 しかし、先に小説を読んでからゲームに取り組んだ方がとっつきやすいような。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.09

アイの物語

山本弘著、『アイの物語』、角川書店、2006年を読む。

本書は、と学会の会長として有名な山本弘による、ロボットもののSF。 人とは異なるロボットと人類の未来を描き出している。

お話は、ロボットに支配された未来、「語り部」と呼ばれる僕は、アイビスというロボットと遭遇し、戦うが圧倒され、とらわれる。 ケガが治るまでの間、ロボットと人間を題材にしたフィクションを、アイビスは僕に語り聞かせるのだった…というもの。

「ロボットに支配された未来」というだけで、一瞬、ありきたりなロボットSFを想像してしまいがちだが、この物語はそうではない。 むしろ、「ありきたりな設定」であること自体が、テーマでもある。 本書のテーマは、人工的な知性が存在したとして、それは人間をどう判断し、どう共生するのか。 物語に力はあるのか。 人間の認知能力の特徴と限界などだ。

ロボットという存在を描くことで、人間を描きだし、その愚かさと救いに関する、身近でありながら大きな物語になっている。 おもしろい作品だった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.08

脳をめぐる冒険

竹内薫、藤井かおり文、モリナガ・ヨウ絵、『脳をめぐる冒険』、飛鳥新社、2006年を読む。

本書は、ファンタジー仕掛けの脳科学の入門書。 お話は、アキラと名乗る少年と出逢ったことで、自分の脳の中に入り込んでしまったカオルが、アキラと一緒に脳の中を探検するというもの。 『脳の国のアリス』といった感じだろうか。

本書の場合、脳の機能はそれぞれ擬人(動物)化され、機能に応じた特徴を持っている。 この特徴の説明はわかりやすかった。 しかし、一方で、全体としては意識を形作るけれど、それぞれの部分に分解すると意識を形成しない脳の各部が、それぞれ人などの意識をもったものとして描かれているので、それで結局、全体としてはどうなのかはよく見えなかった。

この辺は、相性がありそう。 個人的には、もうちょっとオーソドックスな解説書を選んだ方がよかったかも。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.07

メカビ vol.1

「メカビ vol.1」、講談社、2006年を読む。

本書は、講談社から出たムックで、「メカビ」=「メカ」と「美少女」。

おお、かがみあきら!(古過ぎ)

と思って、ページをめくったが、文字ばっかりで、メカも美少女も、あまりに低密度です。 一方、インタビューや評論は異常に高密度です。

なんか、内容が看板と違いすぎるのでは。 ええ、これで、タイトルがたとえば「オタク!魂」とかだったら、非常に納得です。 内容も変わっていて、おもしろい記事もあったし。 でも、「メカと美少女」だったら、ビジュアルでフェティッシュな感じであって欲しかったかも。

それは、ともかく、本田透氏の「青春の殺人者が生まれるとき」の図解は多すぎて、まじめに電波っぽく見えてくるんですが…。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006.06.06

原典 ユダの福音書

ロドルフ・カッセル他編著、『原典 ユダの福音書』、日経ナショナル ジオグラフィック、2006年を読む。

本書は、「ユダが裏切っていない」などの扇情的な広告で報道された「ユダの福音書」の翻訳とさまざまな解説がついた本。 今回の出版は、非常に計画的に行われたように思える。 まずは、「ダ・ヴィンチ・コード」の公開前後に時期を合わせたこと。 それから、扇情的なキャッチで、マスコミを活用したこと。 先に「ナショナル ジオグラフィック」誌で特集を組んだり、発見のドキュメンタリーである『ユダの福音書を追え』を出版したことなどだ。 この順番はうまい。 実は、単に「ユダの福音書」の内容を知りたいだけの人には、今回の本だけで十分だったりするのだが、思わず全部買ってしまいそうになるではないか。

もっとも、1970年代に発見されたもののいろいろな紆余屈曲を経ていた写本を2000年に購入し、専門家のチームを編成し、保存と解析を行い、実に短期間で翻訳の出版にこぎつけたわけで、その文化的な功績には、きちんとお金を払ってもいいとは思う。 あまりに出版に時間がかかったために、バチカンの陰謀だ!とかいうトンデモ本まで出た死海文書に比べれば、文書の量は少ないとは言え、非常にテキパキとしていたと思う。 ただ、個人的には、このような、微妙な順番で発行されたことはちょっと残念だった。 そんなことをしなくても、ちゃんと買うのにと思ってしまうのだけれども(実際、全部買ったし)。

それは、ともかく、肝心の内容だが、端的に言えば、イエスがユダに語るこの世の真実であり、グノーシス的な世界観だった。 この世は愚かな神性の支配するところであり、他の弟子たちはそこに属しており、救われないというものだ。 なぜに、ユダがイエスを売らなければならなかったのは、明白ではないが、そのことにより、すべての弟子を超えるものになると伝えられる。 ナグ・ハマディ文書とかを読んだことがあれば、だいたい雰囲気は想像がつくかもしれない。

これが、真実かどうかは不明だ。 イエスが、肉体を捨て、この邪悪な世を去るだけなら、何もわざわざ十字架にかけられる必要もなく、自殺するという手段だってある。 そもそも、「ユダの福音書」以外にも、真の叡智を伝えると称し、いわゆる聖書に含まれない文書というのはいくつもあるが、それらの間でも、むしろ内容は食い違っているように見えるし。

また、たまたま、現在の新約聖書を正統と見なす人たちが主流派になったのであれば、逆に、たまたま「ユダの福音書」を正統と見なす人たちが主流派になった世界もあったかもしれない。 その世界では、マルコ、マタイ、ルカ、ヨハネなどの、名前だけは伝わっていたが、誰も見たことがない異端と呼ばれる福音書が、20世紀になって砂漠から発見され、これまでの定説を覆すと、センセーショナルに取り上げられるかもしれないではないか。

いずれにせよ、こういう変わった、貴重な文書が発見され、かなり乱雑に扱われた結果、損なわれる部分もかなりあっただろうが、それでもその一部を読むことができるようになったのは、うれしい気分。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.05

この世の彼方の海

ある知りあいのブログを見ていたら、初任給のことと、こっちが本題なのだが失恋(のようなもの)のことを書いて悲しんでいた。 すると、勤めはじめた会社を2ヶ月もしないうちにさくっと辞めたばかりな、大して親しくもなかった旧友(?)から、「給料いいなあ」みたいな、空気が読めなすぎるコメントなどでネット・ストーキングされていた。 おいおい、そういう天災のような人物とは、早く縁を切った方がいいのでは。 …って、まあ、でも、コメント削除したり、書き込み不可にすると、更に暴れるかもしれないからなあ…。 困った人というのは、自分では他人から不当に扱われていることが多いと感じ、どうもうまくいかない人生だと感じているだろうし。 うーん、からまれると大変だね…と傍観してみたりする今日この頃です。

それは、ともかく、マイクル・ムアコック著、井辻朱美訳、『この世の彼方の海』、ハヤカワ文庫SF、2006年を読む。 これは旧〈エルリック・サーガ〉の短編集『この世の彼方の海』と『白き狼の宿命』から、「オーベック伯の夢」を抜いたもの。

歩く災いといえば、この主人公のエルリックもそうかもしれない。 本書は、エルリックのシリーズで最初に書かれた作品「〈夢見る都〉」が収録されている。 この作品自体、メルニボネの皇帝陛下エルリックが、自ら自分の優雅な国を、野蛮な他国の軍隊で滅ぼす話だったりする。 しかも、そのきっかけは前の巻『メルニボネの皇子』で描かれているが、非常に自業自得なものだ。 他の収録作品も、辺境を放浪し、〈法〉と〈混沌〉や〈天秤〉の葛藤に成り行きで巻き込まれて翻弄されるというもので、非常にエルリックらしい作品集になっている。

創元推理文庫からは、同じくムアコックの〈ルーンの杖秘録〉シリーズも新版で6月末に復刊とのこと。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.04

嫌われ松子の一生

映画「嫌われ松子の一生」を観る。

これは、同名の小説の映画化で、「下妻物語」の中島哲也監督作品…なのだが、「下妻物語」のような作品を期待する人向きではない。

お話は、中学教師の松子が、ちょっとした事件から退職し、次々と転落の人生を歩み、最後に荒川で死体が発見されるというもの。 映像は、CGなどが活用され、「下妻物語」以上にパワーアップし、非現実的な世界を描き出す。 主演の中谷美紀も、捨て身の演技。

…なのだが、とにかく話が、悲惨すぎ。 どんなに、映像で飾っても、ダメな男にほれて、人生をかけてしまい、救いようのない状態が続くので、観ていて気分がかなり落ち込む。 映像はすごいのだが、その辺は覚悟して観た方がいいと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.03

にじいき

本田透、アニメ会著、『にじいき -- 二次元へいきまっしょい!』、KKベストセラーズ、2006年を読む。

本書は、ライトノベルっぽい、おたくになるためのガイドブック。 もっとも、この本を買うような人は、そもそもおたくだろうから、おたくになる方法をおたくが読んで楽しむという、そういうメタ的な楽しみを求める人向きの本だ。

内容は、好きな女の子ができた羽場もてるくん。 ところが好きになった女の子有明亜季ちゃんは、重度のおたくだった…。 いままでチャラチャラした方向を目指してきたもてるは、亜季のおたく特訓に無理矢理つきあわされることに…。 というもので、ライトノベル、アニメ録画、同人誌、フィギュア、秋葉原の楽しみ方が紹介されている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.02

入門Webマッピング

Tyler Mitchell著、大塚恒平他訳、『入門Webマッピング -- 自分で作るオリジナルのデジタル地図』、オライリー・ジャパン、2006年を買う。

本書は、オープンソースのGIS(地図+データベース)システムの入門書。 主にMapServer、OpenEV、PostGISなどを紹介している。

載っている例は、原書通りで、当然アメリカなどのものが多い。 一応、ふろくで日本向けに無料で入手できるデータなども紹介されている。 結構、GISを使ってみたくても、データの入手の方にお金がかかったりするという障壁があるので、この辺はありがたいかも。

本書の内容は、主にはデータの形式や地図の投影法、ツールの使い方などだ。 実際にこう使うと、こういう応用がという部分には踏み込んでいない。 そこは結構、GISの肝のはずなので、そういう本も欲しいところ。 あと、Ajaxなどで地図を提供するサーバのシステムの部分の書き方とかが紹介されている本があるとうれしいかも。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.01

閉店するレストランで

非常にまともな料理が、リーズナブルな値段で出てくる小さなレストランがあった。 そこが、今日で閉店だというので、出かけてきた。

きちんとした料理人のおじさんの作る魚料理、ちょうどよく焼けたパンを食べて、平和な気分…のはずなのだが、業務改善の議論になる。 ま、それもいいかなと。

レストランは、バックがついて、移転して、大きくなって再開店らしい。 小さいながらもいいお店が、大きくなってどうなるのか、ちょっと楽しみ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2006年5月 | トップページ | 2006年8月 »